名前というのは、その人の人柄を表す大切なものです。
日本では、名前に使った漢字の意味もさることながら、響きに重点を置く名付け方が流行っています。
それでは、諸外国はどんなふうに名前をつけているのでしょうか?
今回は、真面目な印象の強い、ドイツ人の名前のつけ方と特徴を見ていくことにしましょう。
ドイツ人の名前のつけ方
ドイツ人の名前のつけ方は、他の欧米諸国と同じく、聖書や神話、伝承されているものから名付ける傾向にあるようです。そして、これはお国柄とも言うべきなのでしょうか、ドイツでは、性別がハッキリと分かる名前を付けなければならないようです。
日本では、「ジュン」や「ツバサ」など、男女で共通して使える名前が比較的多く存在しますが、ドイツでは男性なら男性の名前を付けることが原則のようです。
性別が判別できない名前を付けた場合には、名前をもうひとつくっつけて性別をハッキリと明示させる必要があるとのこと。
ドイツという国のイメージは、とにかく真面目といった感じなので、その辺りも白黒ハッキリさせなければいけない!といったところなのでしょうか・・?
もちろん、他国と同じく外国風の名前を付けるということもあり、決して真面目一辺倒ではないようですが、いろいろと名前を付けるには制約が多いのも事実なようです。
ドイツ人の名前の特徴
ドイツ人の名前の特徴としては、音の響きを重要視している傾向にあるようです。基本的に、母音を多く含み、母音で終わる名前が多いのが特徴と言えます。
どの国でもそうですが、響きが良い名前は魅力を感じやすいものです。
ドイツでも、ドイツ人が好む響きというものがあり、その響きの名前には好感を持ちやすくなります。
例えば、女性名だと「エミーリア」という名前。
母音が2つ含まれていて、「ア」という母音で終わっています。
男性名だと、「エリアス」という名前が分かりやすいでしょうか、母音では終わっていませんが、やはり母音が2つ含まれています。
ドイツ人に人気の名前
ここからは、ドイツ人に人気のある名前を見ていくことにしましょう。ドイツ人男性に人気のある名前
Ben(ベン)
ベンという名前は、「Benjamin(ベンジャミン)」という名前の短縮した形の名前。数としてはまだ少ないようですが、ここ数年で人気が急上昇している名前のようです。
元は、ヘブライ語から来ており、「幸せな子供」という意味があります。
Jonas(ヨナス)
ヨナスという名前は、ジョナスとも呼ばれる名前で、聖書に登場するユダヤ人予言者、ヨナが由来とされています。英語圏だとジョーンズやジョンとも呼ばれている、国際的に広く使われている名前と言えます。
Leon(レオン)
ゲルマン語では「雷」を意味し、ギリシャ語やラテン語では「ライオン」を意味する名前。ローマ教皇レオ1世から名付ける人が多いようです。
なお、女性名は「Leonie(レオニー)」となっています。
Paul(パウル)
ポールやパウロ、パブロ等とも呼ばれる名前で、新約聖書の著者、パウロやローマ教皇の名前としても知られています。由来は、古代ローマ人の「パウルス」と言われている伝統的な名前です。
Finn(フィン)
1990年代から広く使われるようになった、まだ歴史の浅い名前。北欧民族とアイルランドの名前が派生したと言われていますが、詳細についてはまだ分かっていません。
なお、ケルト神話に登場するフィアナ騎士団の首領もフィンと呼ばれており、金髪で色白の美しい人として記されています。
Noah(ノア)
日本でも名付ける人が増えてきている名前ですが、ドイツでも人気が高いようです。ただし、日本では女性のイメージが強いですが、ドイツでは男性に付ける名前として扱われています。
聖書に登場する「ノアの箱舟」が由来となっています。
Elias(エリアス)
ドイツ人の名前の特徴でも登場したこの名前ですが、モダンな名前として、多くの人に愛されています。旧約聖書に登場する預言者、エリヤが由来となっているとされます。
Luis(ルイス)
ダントツで人気があるという訳ではありませんが、常にトップ10に入る安定した名前のルイス。フランス語の「Louis(ルイス)」から由来している名前ですが、もっと根本まで遡ると、ゲルマン語が起源とされており、「戦い」や「名高い」という意味があります。
Felix(フェリックス)
フェリックスという名前は、ラテン語で「実りの多い」「幸せな」という意味を持つ名前で、フィリックスやフェーリクスとも呼ばれています。女性名ではフェリシアという名前に変化します。
Lukas(ルーカス)
特に、南ドイツのバイエルン地方でよく使われる名前で、ラテン語やギリシャ語が起源とされています。聖書に登場するルカから由来したという名前で、英語圏ではルークスとも呼ばれています。
ドイツ人女性に人気の名前
Emma(エマ)
1890年代から人気がでて、一旦は人気が収まったものの、再び人気が復活した名前。「普遍的な」という意味を持つゲルマン語から由来するという話もありますが、ヘブライ語の「神と共にある」という意味の言葉が由来とする話もあります。
Hannah(ハンナ)
20世紀初頭に使われ始めた名前。旧約聖書に登場する聖人、サムエルの母の名前がハンナで、「恩恵」や「恵み」と言った意味を持つヘブライ語が由来と言われています。
Mia(ミア)
1990年代に入ってから、突如として現われた名前で、今では人気ランキング常連の名前。キリストの母、聖母マリアの「Maria(マリア)」という名前に由来すると言われ、短縮した形がミアと言われています。
Sofia(ゾフィア)
ギリシャ語で「叡智」を意味する名前で、ラテン語ではソフィア、フランス語ではソフィーと呼ばれています。1980年代頃から人気が出始めた、比較的歴史の浅い名前です。
Emilia(エミリア)
ドイツ人の名前の特徴でも紹介した名前、エミリア。もともと、20世紀の初めからあった名前ですが、人気が出始めたのは1990年代後半で、「勤勉」や「意欲的な」というラテン語が由来と言われています。
Lina(リナ)
1890年代のドイツでとても人気のあった名前でしたが、一時衰退、2000年代に入り、再び人気が出てきた名前です。さまざまな国で使われており、ギリシャ語では「使者」、中国語では「貴重な美」を意味しています。
Anna(アナ)
ドイツではモダンな名前とされるこの名前。「Hanna(ハンナ)」のギリシャ語形の名前と言われています。
ディズニー映画「アナと雪の女王」で、主人公の名前もアナだったことから、脚光を浴びています。
Marie(マリー)
マリーという名前は、他の国と同じく伝統的な名前にもかかわらず、今でも根強い人気を誇る名前です。もちろん、聖母アリアから派生している名前で、マリーはフランス語の形の名前です。
Mila(ミラ)
スラブ語で「可愛らしい」や「心地よい」という意味の名前で、イタリア語では「羨望」という意味を持っています。Lea(リア)
「疲れさせる」という意味を持つ名前ではありますが、聖書に由来するヘブライ語では「努力する」という意味があります。参考資料URL:https://minnkane.com/news/7941
ドイツ人の変わった名前
日本ではキラキラネームといって、ちょっと個性的な名前があったりもしますが、ドイツでは珍しい名前ってあるのでしょうか?結論から言うと、ドイツにキラキラネームのような珍しい名前は存在しません。
というのも、ドイツでは名前に関して、日本以上に法律で厳しく定められているからです。
ただ、日本と違ってファーストネームはひとつと決まっておらず、極端な話5個でもそれ以上でも付けることができるそうです。
もちろん、最初に始まる名前が一番重要であり、その人を表す名前であることは間違いないでしょうが、名前を複数、しかも際限なく繋げることができるとは・・。
だからでしょうか、世界一長い名前を持っている人物はドイツ人の男性で、ファーストネームとミドルネームだけで26文字。
ラストネーム590文字も合わせると、合計で616文字の名前になるそうです。
【コラム】ドイツでは付けられない名前が結構ある!
上の項でもお話しましたが、ドイツは日本以上に名前に関して厳しい規則を設けており、キラキラネームといったものはまず認められません。人格を否定されかねない名前や、子供が成長した時に馬鹿にされる恐れのある名前は、原則NGとなっているのです。
例えば、「Fanta(ファンタ)」という名前ですが、世界中で普及しているブランドの名前は禁止なので認められません。
当然、「Mcdonard(マクドナルド)」も同じ理由で、認められていません。
「Superman(スーパーマン)」も学校でからかわれると想像がつきますし、そもそも社会に出てから支障になりかねない名前なので認められていません。
「Satan(サタン)」も日本同様、悪魔という意味なので不可ですが、「ユダ」や「カイン」などの悪人とされる名前もNGとなります。
日本でも、キラキラネームを付けられ苦労している人は少なくなく、結局、大人になってから改名するという人も存在します。
ドイツほど厳しくなくてもいいでしょうが、名前を付ける際は、子供がその名前で独立し胸を張って生きていけるかを、ぜひ、考えて頂きたいと思います。